葉酸サプリの新常識:3つの時期ごとに切り替えるべき4つの根拠

めしぞう
めしぞう

こんにちは。葉酸サプリ辛口評論家のめしぞうです。

このページでお伝えする内容は次のとおりです。

それでは、これらの内容を超わかりやすく解説していきます。

妊活から授乳期まで飲める葉酸サプリなど存在しない

葉酸サプリの販売ページで、こんなセールストーク見たことありませんか?

当社の葉酸サプリは、これ1つで妊活から妊娠中、授乳期までお飲みいただけます

……実はこれ、自社の利益を優先し、消費者の利益を軽視している売り手の「エゴ(自分本位の考え方)」です。

消費者が知らないことをいいことに、都合のよいこと言ってますが、プロはこんな手口には騙されません。本当は、3つの時期ごとに切り替えて飲んでいくのが正解です。

3つの時期ごとに切り替えるべき根拠を解説します。

根拠1:推奨されている葉酸の種類が変わるから

葉酸は、次の3つの時期ごとに、摂るべき葉酸の種類が変わります。

  1. 妊娠前~妊娠初期:食事性葉酸+狭義の葉酸
  2. 妊娠中期~後期:食事性葉酸
  3. 授乳期:食事性葉酸

なぜなら、時期ごとに葉酸を摂る「目的」が変わるからです。

妊娠前~妊娠初期に摂る目的は、「葉酸のサプリなぜ必要?元気で健康な赤ちゃんを生みたいなら必須な理由」で解説しました。

食事からの葉酸に加えて、サプリからの「狭義の葉酸」が必要な時期です。

一方で、妊娠中期からは、ママの健康を保ちながら、胎児や乳児の健康に必要な栄養素を補うために飲みます。そのためには、食事性葉酸だけで十分です。

十分というか、わざわざリスクもある狭義の葉酸を妊娠中期以降も摂り続けるなんて、おかしいと思いませんか?

参考:警告:葉酸サプリ取りすぎの危険性10大リスク。400μgを守りなさい

厚生労働省も、妊娠中期以降は食事性葉酸のみを推奨しています。

妊娠中期からは過剰摂取の概念すらない「食事性葉酸のサプリ」に切り替えるのが安心安全です。

根拠2:推奨されている葉酸の量が変わるから

葉酸サプリを3つの時期ごとに切り替えるべき根拠2つ目。葉酸は、次の3つの時期ごとに、摂るべき葉酸の「量」も変わるからです。

  1. 妊娠前~妊娠初期:640μg(食事性葉酸240μg+狭義の葉酸400μg)
  2. 妊娠中期~後期:480μg(食事性葉酸240μg+食事性葉酸240μg)
  3. 授乳期:食事性葉酸:340μg(食事性葉酸240μg+食事性葉酸100μg)

狭義の葉酸400μgの追加が必要なのは、妊娠初期までです。妊娠中期・後期は240μg、授乳期は100μgの「食事性葉酸」の追加が推奨されています。

妊娠中期以降は狭義の葉酸を400μgも摂る必要ありません。むしろ、狭義の葉酸はデメリットがあります。

狭義の葉酸200μg超えで発生する「UMFA」

狭義の葉酸が200μgを超えると、体内に代謝されないで残ることがわかっています。代謝されない葉酸は、海外では「UMFA」(=Un Metabolized Folic Acid)と呼ばれています。

UMFAの詳細は「葉酸サプリは1日に分けて飲む?」でのちほど解説します。

妊活~妊娠初期までは、この「UMFA」が残ることに意味があるんですが、妊娠中期以降はUMFA残しても意味はありません。意味がないどころか、海外では一部の人たちから悪者扱いされています。

第3の葉酸「メチル葉酸」が海外で人気の理由

そのため、海外ではUMFAが発生しない第三の葉酸である「5-MTHF(メチルテトラヒドロ)葉酸」、略して「メチル葉酸」、いわゆる「活性型葉酸」が人気です。

日本では「活性型葉酸」の販売は認められていません。2008年に、食品安全委員会が活性型葉酸の安全性について議論を交わして、後日「再審議」することになりました[1]

ところが、2015年に再審議が取り下げられました。理由は、「活性型葉酸を販売したい」と要請していたメーカーが合併して、販売計画を見直すことになったから、らしいです[2]

日本政府としては、「狭義の葉酸があれば十分っしょ」という考えなので、日本で活性型葉酸が許可されることはなさそうです。

アメリカのCDCは、「UMFAは健康上の懸念はない」と言っていますが[3]、妊娠中期以降は、UMFAを残すメリットもありません。

妊娠中期以降の狭義の葉酸は「ゼロ」が推奨

なので、厚生労働省が狭義の葉酸400μgを推奨しているのは、

  • 妊娠を計画している女性
  • 妊娠の可能性がある女性
  • 妊娠初期の妊婦

このいずれかです。妊娠中期以降の狭義の葉酸の推奨量は「0μg」です。大事なのでもう一度いいます。妊娠中期、後期、授乳期の狭義の葉酸の推奨量は、「ゼロ」です。

一方で、「食事性葉酸」は妊娠中期・後期に240μg、授乳期に100μgの追加が推奨されています。

なので、妊娠中期以降は、食事性葉酸を補えるサプリに切り替えるのが最善の選択です。

根拠3:摂るべき鉄の推奨量が時期ごとに大きく変わるから

葉酸サプリを3つの時期ごとに切り替えるべき根拠の3つ目は、3つの時期ごとに摂るべき量が大きく変わるからです。

  1. 妊活期、授乳期:10.5mg
  2. 妊娠初期:9mg
  3. 妊娠中期~後期:16mg

※注意)サプリだけで摂る量ではないです。「食事+サプリ」の1日分の合計値です。

妊娠中期~後期は鉄の需要が大きく増えます。

一方で、そこまで必要のない妊活期、妊娠初期、授乳期に大量の鉄を摂るのはよくないです。

詳しくは「私なら飲まない…プロが避けるNG葉酸サプリ13の特徴」で、必要以上に鉄を摂るデメリットを解説しています。

必要な時期に、必要な分だけ補うのがベストです。

妊活~妊娠初期までは5mg→妊娠中期からは10mg→授乳期になったらまた5mgへ、と切り替えていくと最高です。

根拠4:摂るべきビタミンAの推奨量が時期ごとに大きく変わるから

葉酸サプリを3つの時期ごとに切り替えるべき根拠の4つ目は、ビタミンAも3つの時期ごとに摂るべき量が大きく変わるからです。

  1. 妊活期~妊娠中期:700μgRAE
  2. 妊娠後期:780μgRAE
  3. 授乳期:1150μgRAE

※サプリだけで摂る量ではありません。食事+サプリの1日分の合計値です。

「妊活中~妊娠初期に、ビタミンAのサプリを3,000μg以上摂ると、胎児が奇形になる」という報告があるため[4]、葉酸サプリはビタミンAを配合していないものがほとんどです。

ですが、ビタミンAは妊娠後期から必要量がアップします。ラスト3ヶ月間で、必要なビタミンAが胎児に蓄積されていきます[5]

さらに授乳期になると、母乳を通して大量のビタミンAを乳児に与える必要があります。

なので、ビタミンAもしっかり補えるサプリに切り替える必要があります。体内で必要な分だけビタミンAに変換される「β-カロテン」でビタミンAを摂取すると、より安心です。

今回のまとめ

というわけで、今回は「葉酸サプリの新常識:3つの時期ごとに切り替えるべき4つの根拠」について解説しました。

ポイントをもう一度まとめます。

  • 葉酸の種類は時期ごとに変わるから
  • 葉酸の推奨量は時期ごとに大きく変わるから
  • 鉄の推奨量も時期ごとに大きく変わるから
  • ビタミンAの推奨量も時期ごとに大きく変わるから

栄養成分を多めに配合することで量は調整できても、1つのサプリで「葉酸の種類」まで調整することは物理的に絶対に不可能です。

なので、「妊娠前から授乳期までこれ1つでOK!」なんて都合の良い葉酸サプリは存在しません。メーカーのセールストークに騙されないように!

次は「初めての妊活・初マタにありがちな葉酸サプリを過信した4つの勘違い」に進んでください。

葉酸サプリ買う前に読む7ステップガイド記事一覧

STEP1:そもそも葉酸って何?

STEP2:葉酸サプリの必要性を学ぼう

STEP3:葉酸サプリの摂取期間を知ろう

STEP4:葉酸サプリの適切な量を知ろう

STEP5:葉酸サプリのよくある間違いをなくそう

STEP6:葉酸サプリの正しい選び方を知ろう

STEP7:葉酸サプリを正しく飲もう

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参考文献
  1. 食品安全委員会「第63回添加物専門調査会」(閲覧日:2023年2月8日)

  2. 食品安全委員会「第576回 食品安全委員会」(閲覧日:2023年2月8日)

  3. CDC「Folic Acid Safety, Interactions, and Effects on Other Outcomes」(閲覧日:2023年2月8日)

  4. NEJM「Teratogenicity of High Vitamin A Intake」(閲覧日:2023年2月8日)

  5. 厚生労働省「0日本人の食事摂取基準2020年版」(閲覧日:2023年3月6日)