警告:葉酸サプリ取りすぎの危険性10大リスク。400μgを守りなさい

めしぞう
めしぞう

こんばんは。葉酸サプリ辛口評論家のめしぞうです。

このページでお伝えする内容は次のとおりです。

それでは、これらの内容を超わかりやすく解説していきます。

狭義の葉酸は「諸刃の剣」である

厚生労働省も明言しているとおり、狭義の葉酸は役に立つけど、逆に危険も招く可能性もある「諸刃の剣(もろはのつるぎ)」です[1]

諸刃の剣とは、両側に刃が付いた刀のことです。「便利なものも使い方を誤れば危険なものになる」という意味です。

「葉酸は水溶性ビタミンだから、大量に摂っても汗や尿で体外に排出される。過剰摂取にならない」

……これは「食事性葉酸」の話です。狭義の葉酸は、摂り過ぎや過剰摂取でリスクが生じます。

そこで、葉酸サプリで狭義の葉酸を摂り過ぎると生じる、主なリスク・デメリットを10個紹介します。

危険性1:喘息のリスク

喘息のリスクに関しては、複数の大学でリスク報告が挙がっています。

日本では「産婦人科診療ガイドライン(2020年版)」で、2017年のシステマティックレビューを元に「喘息のエビデンスはない」と否定しました[2]

ところが、その後も喘息リスクの研究報告は挙がり続けています。

研究報告1

2009年10月、オーストラリア・アデレード大学の研究によると、

妊娠後期に葉酸サプリを1日1,000μg飲むと、子どもが3.5歳になった時点で喘息になる確率が1.26倍高かった。妊娠16週まででやめた場合は影響がなかった[3]

とのことです。

この研究は、2012年1月に、国民生活センターが公表した「葉酸サプリの商品買い上げテスト[4]」に掲載されたことで、日本で一番有名な葉酸リスクの研究だと思います。

「天然葉酸」をウリにしているメーカーは、なぜかこの「古い研究だけ」を持ち出して、恐怖を煽って食事性葉酸(天然葉酸)を買わせようと仕向けます。

新しい研究も出てるのに勉強不足なのバレバレです(笑)。たとえば、次のような研究です。

研究報告2

2015年1月、中国・山東大学の研究によると、

妊娠中に葉酸サプリを1日72,000μg以上飲むと、喘息のリスクが増える[5]

とのことです。

いくらなんでも多すぎ。そりゃそうだ。

一方、次のような研究報告もあります。

研究報告3

2022年3月、中国・桂林医科大学の研究によると、

妊娠した月から葉酸サプリを飲み始めた場合と、6ヶ月以上葉酸サプリを飲み続けた場合で、喘息のリスクが高くなった。葉酸サプリは400〜800μgを使用[6]

とのことです。

「800μg」が怪しい。400μgと800μgで切り分けてほしかった。

研究報告4

2022年11月、中国・長春中医薬大学の研究によると、

母親の葉酸摂取量が581μgを超えると、生まれた子どもの喘息のリスクが大幅に増加。581μg未満は喘息のリスクと関連がなかった[7]

とのことです。

581μgという具体的な分岐点が示されました。580μg以下なら喘息のリスクとは関係なし。

危険性2:ビタミンB12欠乏症の見逃しリスク

2015年版の「日本人の食事摂取基準」から、

1日1000μg以上の葉酸を摂ると、ビタミンB12の欠乏症を見逃してしまう可能性がある

との記載が載るようになりました。

日本人の食事摂取基準2020年版にも掲載されています[8]

ただし、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、新しい臨床検査を使えば、ビタミンB12欠乏症を見逃す可能性は低いようです[9]

この記載は、今後なくなるかもしれないですね。

危険性3:ナチュラルキラー細胞の減少リスク

2017年9月、ブラジル・サンパウロ連邦大学の研究によると、

1日5mgの葉酸を3ヶ月摂取すると、UMFA(代謝されない葉酸)の濃度が上がる。これがナチュラルキラー細胞の数を減らして、免疫に影響を及ぼす可能性がある。[10]

とのことです。

ナチュラルキラー細胞とは、「悪い細胞をやっつけてくれる生まれながら自然に持っている細胞」のことです[11]

一般女性で5,000μgの葉酸を飲むことはないです。ハイリスク群の人(なりやすい人)は、医師からフォリアミン錠(1錠5,000μg)などの葉酸の医薬品を処方されることがあります。

なので、そうならないように1人目の妊活から葉酸サプリでしっかり対策しておくことが大切です。

危険性4:アトピー性皮膚炎のリスク

アトピー性皮膚炎のリスクも複数の大学で研究報告が挙がっています。

研究報告1

2011年9月、西オーストラリア大学の研究によると、

妊娠後期に、サプリとして1日500μgを超える葉酸にさらされた1歳の乳児は、1日200μg未満だった1歳の乳児よりも、アトピー性皮膚炎を発症する確率が高かった[12]

とのことです。

妊娠後期に狭義の葉酸なんて必要ないですからね。妊娠後期は「食事性葉酸」だけが推奨されています。

研究報告2

2012年4月、オランダ・エラスムス大学医療センターの研究によると、

妊娠初期に葉酸とビタミンB12の濃度が高い母親から生まれた子どもは、4歳までにアトピー性皮膚炎の発症頻度が高かった。飲んでいた葉酸サプリは、400~500μg。ビタミンB12の配合量は不明[13]

とのことです。

ビタミンB12は、葉酸を体内で変換するために「必須」ですが、摂り過ぎには気をつけたほうがよさそうです。

あと、葉酸400μgと500μgは分けて調査してほしかったですね。500μgが怪しい。

危険性5:自閉症のリスク

自閉症のリスクも複数の研究報告が挙がっています。

研究報告1

2018年1月、アメリカのジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院の研究によると、

出産直後の母親が、非常に高い葉酸濃度(適切な数値の4倍以上)を持っていた場合、子どもが自閉症になるリスクが2倍になる。さらに、葉酸とビタミンB12、両方とも非常に高い濃度の場合、子どもの自閉症リスクは17.6倍になる。[14]

とのことです。

この研究は、妊娠中に葉酸とビタミンB12を摂ることを否定するものではないです。あくまで「非常に高いレベル」の葉酸と、ビタミンB12(摂取量不明)を摂った場合の話です。

研究報告2

2020年1月、スウェーデン・ウメオ大学の研究によると、

妊娠初期~中期(7週~18週)の母親の血中葉酸値が高いと、子どもの自閉症の発生も高まる傾向にある。血中の葉酸レベルは、他のビタミンBとも複雑に絡み合っているため、生理学的メカニズムは不明。[15]

とのことです。

この研究は、母体の血液を元に測定されたものです。どのくらいの葉酸サプリを飲んでいたのかは不明です。

危険性6:認知発達の低下リスク

2017年9月、スペインのミゲル・エルナンデス大学の研究によると、

妊娠初期に1日1000μgを超える葉酸サプリを飲むと、子どもが4~5歳ごろに認知発達レベルが低下する[16]

とのことです。

認知発達とは、知識や、知覚(視覚、聴覚、触覚など)、記憶、学習などのことです。一言でいうと「理解力」です。

危険性7:食物アレルギーのリスク

2019年6月、アメリカのバージニア大学の研究によると、

出生時のUMFA濃度(代謝されていない葉酸濃度)が高いほど、食物アレルギーの発症と関連していた。葉酸サプリを摂取していた人は、妊活中が6.8%、妊娠初期が90.6%、妊娠中期が95.3%、妊娠後期が93.8%。[17]

とのことです。

摂取時期にも原因がありそうです。妊活中に飲んでる人が6.8%で少なすぎるし、妊娠中期に狭義の葉酸なんていらないし…。

危険性8:妊娠高血圧症候群のリスク

2020年5月、中国・華中科技(かちゅうかぎ)大学の研究によると、

妊活期から妊娠中期にかけて、800μg以上の葉酸サプリを摂取した女性は、妊娠高血圧症候群を発症するリスクが32%高かった[18]

とのことです。

妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降に血圧が異常に高くなる症状です。

  • 赤ちゃんの発育が悪くなる(胎児発育不全)
  • 胎盤が子宮の壁からはがれてしまう(常位胎盤早期剥離=じょういたいばんそうきはくり)
  • 赤ちゃんの状態が悪くなり(胎児機能不全)、亡くなってしまう

など、かなり危険な合併症を伴うこともあります[19]

そのため、この研究では800μg以上の葉酸サプリを「不適切」と結論づけています。

危険性9:知的能力と運動能力の発達遅延リスク

2014年11月、スペインにあるエルチェ・ミゲル・エルナンデス大学の研究によると、

妊娠中に葉酸サプリを5,000μg以上摂ると、1歳以降の子どもの知的能力と運動能力の発達が遅れる[20]

とのことです。

要するに、同じ年齢の子と比較したときに「うちの子、なんか成長遅くない?」となってしまうようです。

危険性10:小児がんのリスク

2022年9月、ノルウェーのベルゲン大学の研究によると、

妊娠前または妊娠中に、1日1,000μg以上の葉酸を摂っていたてんかん持ちの母親から子どもが生まれた場合、小児がんのリスクが高くなる。400μgならリスクは増えなかった[21]

とのことです。

てんかん持ちの場合です。あと、やっぱり400μgは安心できますね。

厚生労働省が「400μg」を推奨している理由

以上、紹介した10個のリスクは、いずれも葉酸を「摂り過ぎた」場合のリスクです。そして、リスクが上がる「可能性」があるだけです。必ずそうなるものでもありません。

世界標準となっている「400μg」を飲むなら大丈夫です。安心してください。

なぜなら、世界各国の数値を参考にしつつ、摂り過ぎによる健康リスクも考慮して、厚生労働省が導き出した安全値が「400μg」だからです。

厚生労働省は「多く摂るのは健康リスクがあるから、恩恵が得られる最も低い数値の360μgを整えて400μgにした」と言っています[22]

なので、妊活~妊娠初期の狭義の葉酸は、推奨量400μgを守っていれば飲むのをやめる必要はまったくないです。

逆に言うと、厚生労働省は400μgを超える葉酸サプリは推奨していません。サプリで480μgとか800μgとか、そんなこと一言も言っていません。

どうしても400μgを超えた葉酸サプリを飲みたいなら、

  • 400μgを超えるベネフィット(恩恵)
  • 400μgを超えるリスク(危険性)

この2つをてんびんにかけて、自分で冷静に検討することが大切です。

もし、ベネフィットがリスクを上回ると思うのなら自己責任で飲んでください。

私はサプリの専門資格を持つプロとして、恩恵を受けつつリスクを最小限に抑えた400μgを強くおすすめします。

エビデンスレベル最上位のものを信じるのが無難

最後に、誤解のないように注意喚起です。

今回、世界各国の大学の研究結果を紹介しましたが、研究のエビデンスにはレベルがあります。1つの研究結果で判断するのは間違いです。

研究の規模が小さくて、大規模な研究が必要なケースがほとんどです。今後の研究で覆される可能性も十分にあります。

また、葉酸を多く摂ることによって、今回紹介した研究とは真逆の結果が出ている研究報告もあります。

そういう都合の良い研究の一部を切り取って、自社商品のセールストークに使うのがサプリの製造メーカーだったりします。

なので、エビデンスレベル最上位に君臨する公的機関が採用したエビデンス以外は、参考程度に頭の片隅に置いておけばOKです。

世界に先駆けて葉酸摂取を推奨したアメリカの公的機関「CDC」は、「400μgより多く摂ることが良いとは限らない」と強調しています[23]

これがエビデンスレベル最上位のファイナルアンサーです。

今回のまとめ

というわけで、今回は「警告:葉酸サプリ取りすぎの危険性10大リスク。400μgを守りなさい」について解説しました。

ポイントをもう一度まとめます。

  • 狭義の葉酸は、摂り過ぎや過剰摂取のリスクがある
  • 500μgあたりから研究報告が挙がっている
  • 摂り過ぎによる健康リスクを考慮した最小値が400μg
  • メーカーのセールストークではなく、公的機関の情報を信じるべき

私は、妊活~妊娠初期には「400μg」の葉酸サプリをおすすめします。

次は「葉酸サプリの新常識:3つの時期ごとに切り替えるべき4つの根拠」に進んでください。

葉酸サプリ買う前に読む7ステップガイド記事一覧

STEP1:そもそも葉酸って何?

STEP2:葉酸サプリの必要性を学ぼう

STEP3:葉酸サプリの摂取期間を知ろう

STEP4:葉酸サプリの適切な量を知ろう

STEP5:葉酸サプリのよくある間違いをなくそう

STEP6:葉酸サプリの正しい選び方を知ろう

STEP7:葉酸サプリを正しく飲もう

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参考文献
  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン2020

  2. PMID:19880541(閲覧日:2023年2月21日)

  3. PMID:25449200(閲覧日:2023年2月21日)

  4. PMID:35303823(閲覧日:2023年2月21日)

  5. PMID:28724658(閲覧日:2023年2月21日)

  6. NCI「Definition of natural killer cell」(閲覧日:2023年3月22日)

  7. PMID:21923665(閲覧日:2023年2月21日)

  8. PMID:22399526(閲覧日:2023年2月21日)

  9. PMID:28984369(閲覧日:2023年2月21日)

  10. PMID:32131900(閲覧日:2023年2月21日)

  11. PMID:28724645(閲覧日:2023年2月21日)

  12. PMID:31252026(閲覧日:2023年2月21日)

  13. PMID:32389074(閲覧日:2023年2月21日)

  14. 日本産科婦人科学会「妊娠高血圧症候群

  15. PMID:25365251(閲覧日:2023年2月21日)

  16. PMID:36156660(閲覧日:2023年2月21日)

  17. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015(PDF)」

  18. CDC「Folic Acid」(閲覧日:2023年3月19日)