相談:妊娠初期から葉酸サプリ・エレビットを飲んでいます。
現在妊娠30週なのですが、 先日「葉酸の摂りすぎは子どもの喘息リスクが高まる」という記事を読みました。
今まで通り、飲んでもいいのか迷っています。幸い、つわりもなく、食事は普段通り取れています。
エレビットを摂取していると「出産時の出血を抑えることも できる」という情報も何かで読んだことがあり、 どのようにサプリメントを活用するのが 良いでしょうか?
出典:https://www.askdoctors.jp/topics/3731377
回答:葉酸800μg、妊娠後期に飲むメリットなし
子どもが喘息になるような行動は避けたいですよね。
結論から言います。エレビットを飲むのはもうやめたほうがいいです。
なぜかと言うと、妊娠後期に800μgもの葉酸を摂るメリットが何もないからです。むしろ、デメリットがたくさんあります。
喘息との関係は一度否定されている
葉酸の摂りすぎは子どもの喘息リスクが高まる————。
この説明の際にネット上では、2009年のオーストラリアのアデレード大学の研究だけをいつまでも持ち出します。
「妊娠後期に葉酸サプリを1日1,000μg飲むと、子どもが3.5歳になった時点で喘息になる確率が1.26倍高かった。妊娠16週まででやめた場合は影響がなかった」
という研究です[1]。
この研究だけを持ち出す風潮、私は大嫌いです。何年前の話してんだよ…と。2020年の産婦人科ガイドラインで、喘息との関係は否定されてますからね[2]。
なので、私はそれを上回るさらに最新の情報をお伝えします。
新たな喘息リスクの指標は581μg
2022年11月に公開された、中国・長春中医薬大学のシステマティックレビュー・メタ分析の研究です。
この研究では、喘息リスクの葉酸量の新たな分岐点が判明しました。
その量は「581μg」です。
母親の葉酸摂取量が581μgを超えると、子どもの喘息リスクが大幅に増えるすることがわかりました。580μg以下なら喘息リスクは増えませんでした[3]。
この情報、日本では私しかキャッチアップできていないので、初めて知ったはずです。(※2023年8月、日本初公開)
葉酸の摂り過ぎリスクは喘息だけではない
そもそも、葉酸の摂り過ぎリスクは喘息だけではないです。
- ビタミンB12欠乏症の見逃しリスク
- ナチュラルキラー細胞の減少リスク
- トピー性皮膚炎のリスク
- 自閉症のリスク
- 認知発達の低下リスク
- 食物アレルギーのリスク
- 妊娠高血圧症候群のリスク
- 知的能力と運動能力の発達遅延リスク
- 小児がんのリスク
挙げればキリがないです。詳しい解説は、↓の記事を読んでください。
妊娠後期に狭義の葉酸800μgなんて国は推奨していない
いずれにしても、妊娠30週に葉酸800μgのエレビットを飲むメリットは何もありません。そんなことは国は推奨していません。
国が妊娠後期に推奨しているのは、食事性葉酸を480μg摂ることです。
エレビットは狭義の葉酸を800μg配合しています。葉酸の「種類」も「量」も違います。
妊娠前や妊娠初期ならまだわかりますが、妊娠後期に狭義の葉酸800μgは意味不明です。何のメリットもないどころか、リスクが無駄に高まるだけです。
妊娠中期・後期に最適化した食事性葉酸のサプリは↓こっちです。
国の推奨を遵守したベストな葉酸サプリがあるわけです。常識のある大人なら、推奨されている葉酸が摂れるサプリを選びませんか?
私が妊娠後期なら、絶対にプレミン14wを選びます。妊娠後期に葉酸800μgとかマジで意味わからん……。
今回のまとめ
- 妊娠後期に800μgもの葉酸を摂るメリットは何もない
- 最新の研究では葉酸581μg以上で喘息リスクが大幅に増える
- 葉酸の摂り過ぎリスクは喘息だけではない
- 妊娠後期は食事性葉酸を480μg摂ることが推奨
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日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編2020」